裁判員制度の説明会
2009年から日本では裁判員制度が始まります。この裁判員制度については
裁判所のページやWikiを参照してください。
それで、この裁判員制度の説明会というか学習会に行ってきたので少しだけレポートしておきます。自分用のメモ書きというか感想みたいなものですが。参考になるかどうかと言われると勘違い以前に、裁判員制度がよくわかっていないので間違っている部分もあるかもしれません。ただ、この不明な部分は多くの人にとっても不明な部分ではないかなと思われます。まあ、適当に流し読みでもしてください。
裁判員制度のプレゼン
裁判所から2人の方が来て眠くなるプレゼンをしていただきました。というか、資料を棒読みしてくれた方がよかったかもしれません。実は聞いていて音読が悪いのか(資料も悪い気もするけど)、言っていることが分かりませんでした。
それで、説明が終わったので訳分からないままビデオ上映が始まりました。タイトルは「裁判員〜選ばれ、そして見えてきたもの」でした(
こちらで見ることができます)。プロジェクターでノートパソコン (EPSONエンデバー) からDVDを再生するのですが、「DVD〜再生され、そして見えてきたもの」は波打つ映像でした・・・。まあ、多少波打ってなんかスローでも音声は分かるし、まあまあ普通に見ることができるので我慢して見ること30分くらい。ホームドラマになっていて、父親が裁判員に選ばれてしまい、どうやって裁判員をやらないようにするか画策する、といったのが前半。後半は結局、会社のトラブルを部下にやらせて裁判員として望み、放火犯を実刑にすべき、と力説するといった感じになってました。
上映中、何度か失笑される部分がありましたが、気にしないことにしておきましょう。とにかく、そんなにうまくいくわけない、といった内容かもしれません。(質問の時間に、他の人が、そんなにうまくいくわけないだろ!と怒ってました)
質問時間は15分
質問で致命的なのが質問時間。ほとんど質問する時間がない。その中で、こういった質問がありました。
裁判員として参加できるのは一審のみ。しかし、高裁、最高裁には裁判員はいない。被告は控訴できるわけだから、結局一審の判決は何だったのか、となる。こんなに手間ひまかけて我々国民に負担を強いる制度は一体何なのか!
裁判所からは、事実上回答なしでした。こういうのもなんですが、裁判所も被害者ではないかと思います。犯人は公明党なのですが、地域振興券の時も駄目だったけど、来年以降の被害はその比ではないでしょう。2大政党制になって公明党が消えれば多少よくなることでしょう。
有罪と無罪(最悪の場合、殺人をしても無罪)
裁判員制度では「3人の裁判官」と「6人の裁判員」で判断することになります。基本的には多数決で決まるのですが、おかしなことが起こります。例えば
裁判官は3人が有罪としたが、裁判員の6人は無罪とした
この場合、法律に照らして絶対に裁判官が正しかったとしましょう。でも、多数決なので犯人は無罪になります。なんかおかしいですよね。ここで、控訴しなければ殺人していても無罪でおしまい・・・(え???)
実は、この質問は短い質問時間に約3人の人が同じ質問をしたのですが、回答があやふや。なんだか、正確に決まっていないのかも、といった印象を受けました。
想定されていないこと(質問状を返却しなかったら)
この裁判員制度ですが、参加する以前に想定されていない事項がたくさんあるようです。その中でいくつか書いておきましょう。
まず、裁判員の候補になった場合50人に裁判所から通知(質問状)がきます。裁判所は通知は返送されるものと思っているようです。全て質問状は返送されると考えているようですが、参加したくなければ、そのままゴミ箱へ質問状を捨ててしまえばOKです。ドラマを見る限りでは配達証明などはとらないようです。
でも、さすがにゴミ箱に捨てるのは気が引ける、という方はちゃんと質問状を返すべきです。ところが、この質問状に常に多忙である、といった具合に嘘(偽装)を書いた場合、裁判所ではそれを判断すべき材料がないため、裁判員として選ばれる可能性は非常に低くなります。まあ、質問状を返却しないのが一番よいでしょう。この時点では特に罰則がないとのことです。
想定されていないこと(出席できなかったら)
裁判員をやってみたい、という人もいるでしょう。ところが、当日運悪く事故にあってしまい行けなくなってしまったと。そうなると裁判官3人と裁判員5人になってしまい、うまく多数決で決められない場合があります。そのような場合に備えて予備の裁判員を1人確保してあるとのことです。ところが、2人が事故にあってしまった場合には裁判は開かれません。つまり、2人が結託して裁判を欠席した場合には、多分また選考しなおしで最初からやりなおされる可能性が高いのではないかなと思います。
想定されていないこと(裁判員を買収)
裁判所では裁判員は良識があってものごとが判断できるものとしています。上映されたドラマでもそうでした。しかし、実際はどうでしょう。世の中にはいろいろな人がいます。もし、裁判員の中に犯人と密通している人がいて、裁判員を買収もしくは恐喝していたとしたら、正しい判断が行なわれないことになります。上に方に書いた「有罪なのに無罪」ということも起こりえるでしょう。
結局、同じ人たちが裁判員に選ばれる
裁判員に選ばれる確率は高いのでしょうか、低いのでしょうか。くじ引き=ランダムに選ばれるとなってますが、それは最初の時点はそうなのですが、最終的には面接があります。この面接に通過しないと裁判員になることができません。
つまり、この面接時に非常識な言動や行動をすると裁判員にはなれません。裁判員になりたくない人は、この面接の段階で非常に偏った発言をすれば二度と呼ばれることはないでしょう。
こうなると、「忙しい人」や「不誠実な人」などは選ばれなくなりますから、どんどん裁判員になる可能性が高くなっていきます。また、裁判員になってしまうと5年間は裁判員として参加できません。ですから、人口の少ない地方では、ますます負荷が高くなってしまうかもしれません。特に高齢化率が高いところでは、いつも同じ家庭から裁判員が出てしまうといったオチになりかねません。
さらに映画のように世代を均等にすると
さらに映画のように、なるべく世代を均等になるように裁判員が割り当てられるはずです。全員が男性、全員が団塊の世代、ということはしないでしょう。そうなると、人口の多い団塊の世代では、あまり裁判員に選ばれなくなります。これに対して、若い人はかなりの頻度で裁判員に選ばれることになります。単純比較でも団塊の世代と今の20代前半では3倍近く人口差があるからです。つまり、世代を均等に割り当てると「若者の負担が2〜3倍高くなる」というオチになってしまいます。
ひどいことを言えば真面目な人だけが、どんどん負荷が高くなっていくということになります。
どんな判決を選択しても恨まれる可能性が高い
困ったことに、どのような判決を選択したとしても恨まれる可能性が高くなります。特に裁判員制度で扱われる事件は「怖い事件ばかり」です。裁判所では「お礼参り」がないようになっている、と言っていましたが、恨まれるのは犯人からだけではありません。被害者からも恨まれることがあります。例えば飲酒運転で人を3人も死亡させてしまったのに、何でこんなに刑が軽いのか!といった感じです。まとめると
刑が軽い場合:犯人には恨まれないが、被害者から恨まれる
刑が重い場合:被害者には恨まれないが、犯人から恨まれる
となります。どっちに転んでも良いことはありません。裁判所が想定しているのは後者だけで前者はありません。となると、どっちの刑を選択すればよいのでしょうか。この場合は、後者の重い刑を選択するのが得策と思われます。というのも、刑が重かった場合、犯人は控訴すれば済むからです。
となると結局、一審は何だったのか・・・。何なんでしょうね・・・。
声の大きいものの意見が通りそう
結局、法律云々よりも話し合いが重要になります。映画でもそうでしたが、説得力のある人間の意見が採用される可能性が高くなります。つまり裁判員のうち5人がおとなしい人で1人だけが声が大きかった場合、とんでもない判決になってしまうことがあります。
そうなると、裁判官は困りますから、裁判員を「誘導」しなければなりません。声の大きい人の意見が実は正しくても裁判官が気の弱い5人を誘導してしまえば、間違った判決を出してしまうことになります。これは、果たして民意が反映されたのでしょうか。こんな状態になってしまったら裁判員制度の意味がありません。
裁判所は暇なのか?
とても暇だとは思えないのですが、裁判員制度について素人にも分かりやすくプレゼンできていないのに、ましてや実際の裁判で分かりやすい解説が可能なのでしょうか。映画ではパワーポイントなどを利用して説明しているようでしたが、その資料は誰が作るのでしょうか。事件について詳しく知っている人となると、当然限られた人しかいないわけです。その人たちが一生懸命、素人向けの資料を作るのでしょうか?
これでは、なんか本末転倒ではないかという気がします。資料と向けの資料制作に力をとられて本業がおろそかになってしまう。
でも、大丈夫です。結局、一審の判決はアテにならないわけだから控訴となるはずです。一生懸命やっても控訴された瞬間に徒労に終わるのです。
誰も出なければよい
裁判員制度が始まっても誰も出なければよいのです。というか、出る人が少なければ、あっという間に選択できる人が尽きて終わってしまうでしょう。地域振興券のように(笑)
多分、始まった瞬間に見直されるはずです。